同友会ニュース

2016年9月8日

静岡同友会主催「愛媛同友会専務理事が語る学習会」で鎌田哲雄専務理事が報告!


▲正副代表理事の主催で学習会が開催されました。
「人が生きる経営」と「中小企業振興基本条例」で自社と地域の未来を切り拓こう
 <自身が「生き様」を問われて>

201693日(土)に静岡同友会主催で「人が生きる経営と中小企業振興基本条例で自社と地域の未来を切り拓こう」と題して学習会が開催され、愛媛同友会専務理事の鎌田哲雄さんが招待され報告しました。今回の学習会は正副代表理事主催として開催。静岡同友会副代表理事の秋山和孝さんは、20164月の九州沖縄ブロック交流会の条例学習会で鎌田さん・米田順哉副専務理事・和田寿博愛媛大学教授(会員)が行った講演に参加し、そのときに「なかなか腑に落ちない中小企業振興基本条例について講演内容に説得力があって解決の糸口を見つけた。静岡同友会会員に聞いてもらいたくてお越しいただいた」と開会挨拶されました。全体の参加者数は66名、うち会員が54名でした。縁もゆかりもない愛媛に来て31年間同友会運動と共に歩んできた鎌田さんの問題提起に参加者は熱心に聞き入りました。

 鎌田さんは前立腺がんのステージ?・末期進行がん患者。20117月に診断されました。講演の冒頭、鎌田さんはご自身の闘病生活を語り、がんになって自らの姿勢と使命、「生き様」を問われたと振り返ります。経営者の姿勢を長年問い続けてきたにもかかわらず、自分が「がんになったから辞めます」と言えば経営者と公平ではない、愛媛同友会・前代表理事の服部豊正さんから「創業者なのだから最後まで責任を持ってやりなさい」、同じく前代表理事の大野栄一さんからは「経営者というのは常にがんに罹ったような状態で生死をさまよっている、ようやく経営者の気持ちが分かるようになりましたね」と励まされたといいます。経営者から励まされ、事務局継承として局員採用・後継者育成のほか、就業規則整備など「アテにできる」事務局経営を実践しました。

同友会で学ぶ経営とは「人を生かす経営」であり、その鍵は利益の上げ方と分配方法を学ぶことのほか、社員は経営者の最も信頼できるパートナーと「なり得る」ことにあります。「社員は最初からパートナーではない」と鎌田さんは強調します。信頼されるパートナーという関係性を「獲得」することが必要であり、共に学び・共に育ち合う姿勢が重要です。今回の学習会は愛媛同友会の事務局員も参加しており、共に学ぶ実例として事務局が局内の育ちあいの発言をしました。伊井達哉さんは事務局では常日頃から「雑談力」を身につけ会員とあらゆる見識と見解を持って接することができるように努めていること、私こと安丸雄介は入局の動機として経営者と社員がパートナーとなるべく尽力を尽くしているのと同様に、会員と事務局がパートナーとする会風に惹かれたことを語りました。

今回は中小企業家同友会全国協議会の富永拓馬さんも研修として参加。富永さんは入局1年目に鎌田さんと初めて出会い、「大いに失敗して経験してください」と言われ失敗が糧になることを鎌田さん自身の経験から背中を押されたことを話しました。鎌田さんは中同協の国吉昌晴さんと愛媛に到着して松山城の天守閣から愛媛の地を見下ろし、「見てください、この景色を。この地域をあなたが変えていくのです」と背中を押されたエピソードがあります。冨永さんが学生時代の漫画研究会の経験から、このエピソードを漫画にしたことを明らかにしました。いまやこの漫画は鎌田さんの報告資料集の表紙に毎回掲載され定番となっています。

 

<中小企業家とは何か? ―「社長」「代表取締役」「経営者」「中小企業家」の違い>

今回、鎌田さんは以前まで話されていた「社長」「代表取締役」「経営者」の違いの話に加え、新たに「中小企業家とは何か?」 と問題提起しました。社長は社内の職制にもとづく名称であり、社内で決めれば誰でも社長になれる。代表取締役も法務局へ登記さえすれば誰でもなれる。しかし、経営者は「経営に責任を持ち実践する人」でなければならず、その経営者の条件は経営指針の確立、特に経営理念が必要であるといいます。

そのうえで、中小企業家とは「経営者の条件を満たした上で、社会的使命と役割を自覚し、地域に幸せをもたらす人」であると定義づけました。これまで鎌田さんは中小企業家を「憧れの存在」として「失敗をオープンにすると同時に失敗を教訓として、誰でも活用できるように法則化する人」だと語り、これに加えて社会的使命と役割の自覚、そして実践がいかに大切か痛感したといいます。

 

<中小企業振興条例とは地域になくてはならない企業をつくる「地域における経営指針」>

条例運動は、「実態調査」「条例」「推進会議」「同友会がプロデュース機能を発揮」こそが「定石」であり、またこれらの機能を同友会事務局こそが産学官連携の中で人間的信頼関係づくりを発揮して担うことが重要だと、東温・松山市の経験をもとに強調。自治体が中小企業振興の責任を負う「基本」条例を目指す必要があると話しました。

さらに、鎌田さんは条例運動が進めば、条例をもとに地域社会・市民が中小企業を評価する力を持つといいます。市民から評価に耐えられる地域になくてはならない企業をつくる条例とは「地域における経営指針」であり、「人を生かす経営」をPDCAで実践している経営者こそが条例運動に関わり、条例委員などの役割を果たしてほしいと訴えました。

 

<静岡同友会の温かさと熱意ある勉強意欲>

グループ討論の感想では、「鎌田さんの生き方に感動した。ミッションがあると人間は強くなれる」「愛媛の事務局継承は企業の事業継承モデルの一つとしてヒントになる」「行政マンと人間的に日常から関わりキーパーソンを作っていることに驚いた」「静岡では行政主導で条例制定が進んでいる実情もある。同友会と中小企業が地域で手本として示していかないと、条例も空文化しかねないことがわかった」などの声が聞かれ、皆さん熱心に聞き入られた様子が見られました。

この学習会には静岡同友会より入局内定者の2名にも参加してもらい、入局前から熱気こもる例会で貴重な経験をしてもらえたといいます。講演後の懇親会では、鎌田さんへ鋭い質問だけでなく感謝の言葉が続々と。二次会では静岡市内のお店で静岡おでんが振舞われ、次の日には久能山東照宮にまでご案内いただきました。

静岡同友会の温かさと熱意ある勉強意欲を感じられる2日間となりました。

文責:安丸 雄介  愛媛同友会事務局員

▲報告した鎌田哲雄・愛媛同友会専務理事

 

▲静岡同友会の真剣さとあたたかさに触れることができました。

 

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