同友会ニュース

2015年1月20日

10月の役員研修(秋編)に続き、役員研修会(春編)を開催しました!


▲参加者で記念撮影
鎌田哲雄専務理事と米田順哉理事が「同友会運動をどう学べば、企業経営に生かせるのか?」を報告
  10月8日(水)に開催した役員研修(秋編)に引き続き、1月15日(木)、アイテムえひめにおいて、第10回拡大理事会&役員研修会(春編)を開催しました。報告者は、鎌田哲雄専務理事と、米田順哉理事。今回は、理念等の概念的、抽象的なテーマをより具体的に報告いただきました。理事27名、幹事10名、事務局3名の合計40名が参加。「同友会運動をどのように学べば、企業経営に生かせるのか? ~同友会運動で学んだ意味を価値あるものにする鍵は~ ~問題提起と実務と実践編~」をテーマに、報告いただきました。
 
<同友会の意味と価値>
 鎌田さんの報告は、昨年10月に開催した役員研修会(秋編)での確認から始まりました。1点目は「愛媛同友会の強みは高品質会員企業と高品質同友会にある」ということ。2点目は「同友会で学ぶのは経営の法則・原則(?利益のあげ方、?社員をパートナーとする、?利益の分配)である」ということ。そして3点目は「役員は憧れの存在になるために学び実践する」ということ。鎌田さんのおっしゃる“憧れの存在”とは、「失敗をオープンにすると同時に失敗を教訓として、誰でもが活用できるように法則化する人」のことです。そのために経営姿勢を学び(立派な役員ではなく、立派な経営者になる)、同友会(企業)と役員(経営者)は鏡の関係であり、選び選んだ関係であることを自覚することが大切であると確認しました。
 その上で、同友会の意味と価値について、「役員は会員から、経営者は社員からの信頼を獲得して名実共に役員(経営者)・事務局になるために同友会の存在の意味がある。そして役員(経営者)が活用することで価値あるものになる」と述べられました。支部や委員会といった同友会の組織は、中小企業が抱える課題を普遍化したものです。自社の経営課題に問題意識を持ち、同友会の活動に真剣に取り組むことで、自社の経営課題の解決に直結するのです。問題意識がなければ、興味を持てません。このことを自覚して実践し、経験を教訓化することで、価値あるものになります。その先頭に立って見本となるのが、役員であり事務局員です。「学びたいことと、学ばねばならないことがありますが、同友会は“学ばねばならないこと”を学ぶ場です。同友会の組織が経営の縮図であることを認識し、“学ばねばならないこと”を“学びたいこと”にしていくことが大切です」と提起されました。
 
<同友会とはどういう会なのか>
 ここで、同友会理念について再度確認を行いました。「良い会社・良い経営者・良い経営環境(3つの目的)の実現に向けて、地域と共に歩む中小企業の自覚をもち、自主・民主・連帯の精神を発揮して、企業経営と同友会運動を行う」のが同友会理念です。自主とは、干渉を受けずヒモ付きにならない主体性の確保、民主とは独善的な運営をせず違いを認め合うということ、連帯とは目的実現に向けて連携する、アテにしアテにされる関係のことです。信頼に基づく連帯を、鎌田さんは「同友会の最高の概念」とおっしゃいました。
 そして、「採用し、教育し、評価し、人を生かす。これが57年間にわたる同友会運動の理論的到達点です。これを学ばないと、もったいないですよ」。
 
<同友会の組織・役員・事務局づくりの方針>
 まずは時間的側面(1年・3年・5年のめあて)・質的側面(例会・委員会活動・条例)・量的側面(会員数・参加者数・支部数)の観点で考えることを方針とすると提起されました。
 続いて、同友会役員と事務局の行動基準=共通言語を確立することの重要性について述べられました。行動基準のベースとなるのは、役員・事務局員の必要読本である「同友会運動発展のために」、「人を生かす経営」、「経営指針作成の手引き」、「共に育つ」、そして中小企業家しんぶんです。これらを読むことで、行動基準である同友会理念・同友会方針を学ぶことができます。逆にいうと、それを学ばずには同友会運動における判断はできないということです。そして、各社で必要読本=共通言語を持つことについても提案されました。
 
<『見識』と『見解』をもち、その仕組みを自らと社内や同友会につくる>
 見識とは、物事を深く見通し、本質をとらえる、すぐれた判断力のことです。見解とは、物事に対する考え方や価値判断です。見識と見解の例として、「今だけ、金だけ、自分だけ」という風潮について、同友会としての見解を話し合ったことを紹介されました。これを同友会らしく表現すると、鎌田さんは「未来、人、周囲」であると考えました。それに対して事務局員の住田昌士さんは「今も、金も、自分も」であると述べ、鎌田さんはなるほどと思ったそうです。「見解や見識について議論できるのが、同友会の真骨頂です」と紹介されました。
 鎌田さんは、いつも自分の一つ上の世界に見解を持つことが大切であると述べられます。そのために、全国の先進事例や失敗や成功経験を積極的に学び、教訓とすることが必要です。全国大会への積極的な参加と、特に理事会や幹事会では全国の方針や提起を議題に加えることを提案されました。
 同友会の会合は会員皆さんの行動の縮図です。同友会や自社や社員を非難することは、自分を非難することなのだという自覚が必要です。そのためには周囲に対して求めるだけでなく、自ら変革する姿勢が必要です。そのことが「憧れの存在」=「同友会理念の体現者」になる道だと、鎌田さんは言います。会員皆さんと同友会、経営者と企業(社員)は鏡の関係です。憧れの存在になるためには、鏡が曇った時には磨く努力が必要であると述べられました。
 
<同友会運動の面白さとは…>
 これらのことを自覚して実践することが、同友会運動の面白さです。問題が周囲ではなく自分の中にあると自覚し、他人の責任にしないこと。このことをひたむきに続けることで「憧れの存在」=「企業と同友会理念の体現者」となるのです。
 鎌田さんは「同友会は最も信頼にたるパートナー」であるとおっしゃいました。そして、「同友会運動の真ん中で活動しないと時間の無駄であり、中途半端は周りが迷惑です。選ぶのは皆さんです」と投げかけられました。
 
<鎌田さんの同友会での学びと実践>
 続いて、鎌田さん自身が病気を通して見えてきたものについて、ご報告いただきました。2011年9月9日にがんであることが判明した時に鎌田さんが取った行動は、中心役員への報告と会議の招集、そして自分の後継となる事務局長の退職金整備でした。自分と同じ立場の時に、リーダーはどう判断し、どう実践するのか。これまで経営者に生き様を問うてきた鎌田さんが、自らの生き様が問われていると自覚し、フェアであろうと決意してのことでした。そして、役員から「死ぬまでやりなさい」と声を掛けていただき、文字通り命を賭けて同友会運動に取り組んでいるのです。「『世の中は捨てたものではない、信頼に足る』ということを証明するのが人生だと、同友会で学び教えられました」「私にとって、同友会、そして会員も事務局員も友人です。友人を裏切ることはできませんよね」と静かに力強く語られました。
 
<実務編:主に支部例会づくりについて>
 鎌田さんからの報告は、実務編に移りました。
 同友会の例会の質を向上させるためには、まずは「事前打合せ会」、「事前報告会」、「例会」、「懇親会」の4つの枠組みを実践することが必要であるとの提起がありました。最初は未熟でも、とにかく4つを実践し、それを幹事会で評価することで成熟度を増してく。そのために例会アンケートを改良し、企業変革支援プログラムのような共通言語を作っていくことも必要です。
 具体的には、「事前打合せ会」では、例会の目的と報告者選考の理由を熱意と誠意をもって語ること。「事前報告会」では、成功事例よりも失敗事例を引き出すことに重点を置くこと。「例会」は、役割分担からグループ分け、当日の準備まで、全国レベルの設営にすること。そして「懇親会」は、例会の付け足しにせず、「ひとりぼっち」にしないことを念頭に置いて準備、設営すること。
 「あらゆる場で雑談ができる関係をつくることが大切です」と鎌田さん。そのためには、あらゆる分野に関心を持ち、学び、考える力を持つことが必要です。「経営は総合芸術であり、同友会運動は総合芸術をプロデュースする運動です」と締めくくられました。
 
<危機に遭遇して気付いた同友会の学びの価値…米田順哉さんの報告>
 続いて、米田順哉さんからの報告です。「危機に遭遇して気付いた同友会の学びの価値」とのテーマで、自身の経験をご報告いただきました。
 米田さんが理事長を務めるNPO法人家族支援フォーラムは、かつて完全なトップダウン経営だったと言います。そんな中で同友会に入会した米田さんは、「私は鎌田さんが紹介された必要読本から同友会の学びに入りました。今にして思えば、頭で分かったつもりだったのでしょうね」。
 ある時、No.3である現場責任者と、No.4である後継者が同時に退職するという事態が起こりました。その時米田さんは、「社員全員が力を合わせないと潰れる」と実感したそうです。そこで社員全員を集めて、理念の再検討を行い、改めて事業方針と事業計画について議論を行い、危機を乗り越えたのでした。
 「特定の人間に頼らねばならない組織はもろい」ということを痛感した米田さんは、全員参加の組織、全社一丸の経営、経営指針の全社的実践を目指しています。そのためには、求人と社員教育を継続して実施する必要があり、それを保証するためには経営指針の中に位置づける必要があるとの考えに至りました。つまり、同友会の「人を生かす経営」の価値に改めて気付いたのでした。
 
<補足報告>
 補足報告では、鎌田さんから時間的側面・質的側面・量的側面の観点について、更に具体的な解説がありました。時間的側面については、1年目で4つの枠組みへの着手、3年間で4つの枠組みを完成させ、5年~10年で発展させていくということ。質的側面については、会員訪問をして会員を知り、例会報告者のデータベース化を図るということ。量的側面については、他支部例会への参加やゲスト・オブザーバーの参加など、参加者の流動化を図るということ。こういった観点を持ち、典型(モデル)となる支部や役員をつくっていくことを提起して、約3時間にわたる長く深い役員研修は終了しました。
 
文責:大北雅浩(愛媛同友会 事務局長)

▲報告する鎌田哲雄専務理事

 

▲報告する米田順哉理事

 

▲各支部・地区会を基にグループ討論を行いました

 

▲例会のテーマについて真剣に話し合いました

 

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