学び続けることで新しいものの見方ができるようになる

阿部 信之氏

<阿部 信之・プロフィール>
1955年生まれ、有限会社阿部木工 代表取締役。愛媛県中小企業家同友会 松山支部第1地区会幹事。企業連携委員。1990年入会。

 

中学校3年生の時に創業者の父親が急逝。家業を継ぐことを決意して広島の高級家具製造会社で修行。修行後、実家に戻り婚礼家具を製造するが、ライフスタイル等の変化から売れない状況が続く。阪神大震災を契機として、婚礼家具から建築造り付け家具製造の分野へ業態展開。

その後も初めての体験ばかりで失敗を繰り返すが、今では家具の修理では、なくてはならない

存在感のある会社に発展。

 

障害のある人の採用等も行い、“失敗を教訓として経営実践”を続けている経営者の一人。企業連携にも率先して取り組んでいる。

 

同友会にあっては、松山支部副支部長や社員教育副委員長を歴任。

―入会のきっかけ

昨年亡くなられました会員の渡部剛司さんに誘っていただいたことが入会のきっかけでした。

 

父が早くに亡くなってしまったためにわからないことだらけの中、会社を継いでいくことになり、経営のこともわからず失敗ばかりしていました。

 

経営者ってどんな仕事をしているのかも理解していませんでした。毎日仕事はしていて、充実感はあり、今日も1日終わって疲れたなぁ。で日々が過ぎていっていました。同友会に入会するまでは異業種の知り合いもいませんでしたし、父もいませんでしたので経営者としてどうあるべきか、どうしていくべきかを真剣に考える機会がありませんでした。しかし、なんとなくこのままじゃいけないということは漠然と頭にありました。

 

渡部さんにご紹介いただいて、お好み焼き 千房の中井政嗣さんの報告を聞いて衝撃を受けたことを覚えています。赤裸々に失敗談を話されていることに驚きました。経営体験を人から聞く機会もありませんでしたし、この会は学べる会で入会して良かったと思いました。これが同友会の第一印象です。

―同友会での学び

経営体験をされている方々から学ぶことが出来る会だと思っています。経営指針も同友会の特徴の一つで重要性も学びました。しかし、本音で語り、共に学び合うことができるのが同友会での一番の学びになっているように思います。

 

20年程前に業態転換をすることになったのですが、元々業態転換しようとしていたのではなく、結果的に業態転換になった形でした。以前は婚礼家具等を作っていたのですが、阪神淡路大震災をきっかけに需要が低くなり、売れなくなってきました。そこで建設業界の仕事もして行こうと思い、例会のグループ討論でそんな話をしていました。すると、とある当時会員だった方が同じく当時会員だった方に声をかけてくださり、ある日見積書が届きました。私には何も言うことなく、見積書が届いたので驚いたことを覚えています。後で聞くとグループ討論での話をきっかけに気をきかせてくださったということでした。その時は採算も取れるかどうか難しい状況でしたが、家具屋でやっていくには崖っぷちでしたので思い切ってその仕事を受けてみました。この時の選択は今思うと成功だったのかなと思います。

 

また、ある時例会で岡山同友会の株式会社ウエキさんが報告してくださったことがあり、株式会社ウエキさんはオーダー家具の会社なのですが、社員数も50人程で大きく、業界の先駆者でしたので例会をきっかけに会社を訪問させてもらいました。そこから仕事でも交流が増え、多くを学ばせていただきました。同友会での出会いだとある程度信頼できるので話が早く進みました。

 

同友会では、グループ討論でも本音で話しますが、それがきっかけとなって仕事につながることも少なくありません。こういったことができるのは同友会だけではないかと思いますし、素晴らしいことだと思っています。

―同友会への期待

同友会理念をいかに浸透させるか、同友会理念に賛同する人をいかに増やしていくかが重要なことだと思います。若い経営者も育っていると思いますが、会歴の長い方も例会に参加してほしいと思います。参加できない時期もあるかとは思いますが、また参加すると違った観点から同友会を見ることができることもありますし、新しい学びがそこにはあると思います。同友会やめるなんて言わないで、継続して所属して、また共に学んでいきたいと思っています。違った見方ができると思いますし、自らが経営体験を語ることが他の方には新しいことかもしれません。学び続けることで新しいものの見方ができるようになる、体験するからこそわかることがあると思います。共に学ぶ姿勢が大切だと思っています。良いことも悪いことも口を出していくことが大事だと思いますし、それができるのが同友会だと思います。

インタビュアー・文責:伊井 達哉(愛媛同友会 事務局員)

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