『共に育つ』というのはお互いがお互いを生かすということ

米山 尚志氏

<米山 尚志・プロフィール>
1952年生まれ、愛媛三菱農機販売株式会社 代表取締役。愛媛県中小企業家同友会松山支部第1地区会会員。1990年入会。


経営指針成文化セミナー卒業生の会「あらぐさの会」の二代目会長。「人を生かす経営」や「共に育つ」という概念に興味を持ち同友会に入会。入会当初から同友会運動に熱心に取り組む。社員と共に育つことを大切にし、社内の平均勤続年数は15年を超える。


1998年4月から社内報「TOMORROW」を毎月発行。毎号必ず米山さんの方針を掲載し、毎月の旬・歳時記に始まり、社員へのインタビュー記事、お客様の紹介記事、商品紹介、誕生日紹介、編集後記等々を掲載。社内報の意義は「社内のコミュニケーションを活発化し育ち合う糧とする。全社員が内外情勢や会社方針や問題意識を共有する」こと。

―入会のきっかけ

紹介者は大野栄一さんです。例会に誘われたことがきっかけです。経営理念や方針について学びになると思い入会しました。

 

同友会の全国交流会も参加し、そういった会合に参加したことで同友会についても早くに理解でき、運動に参加できたかなと思います。全国の交流会に参加すると松山、愛媛県にいる以上に多くの学びがありましたし、物事を考えられました。亡くなられた宇高昭造さんと全国大会でご一緒させていただいたときに多くを語り合い、学ばせていただいたことを覚えています。またある時、新潟県での全国大会では、「経営者の覚悟」の話を聞いた事もとても印象的でした。入会当初から多くを学んだように思います。

―同友会での学び、経営にいきていること

同友会では学びや気づきを沢山もらっています。わが社はメーカー系列の販売会社ですが、メーカーに左右されない、メーカーから信頼される会社になることが生き残る会社だと思っています。外部環境の変化を読み、自社の強み・弱みを理解することが経営において重要な役割を果たします。しかし今、外部環境が読みづらくなっています。自社の強み・弱みはメーカーに左右されないようにしなければいけません。しかしメーカーは情報開示をしてくれるとは限りません。メーカーに左右されていると長期計画を建てることができなくなります。実際わが社はメーカーに左右され、長期計画を建てられない状況です。そうなってから企業づくり、社員教育に力を入れてきました。メーカーに左右されず、将来どう変化してもお客様からあてにされる企業になることを目指しています。社会や業界が変化しても企業がしっかりしていれば生き残れます。商いが続けられることが重要です。そのためにもまずは目の前のお客様を大切にしています。

―同友会への期待

同友会が提唱する「共育」=「共に育つ」という概念がありますが、これは素晴らしい考え方だと思っています。「人を生かす経営」とは、まず「共に育つ」と言うおおきな考え方があって、その中に「人を生かす経営」があるのだと思います。「共に育つ」というのはお互いがお互いを生かすということだと考えています。社員と社員、幹部と社員、経営者と社員です。「人を生かす経営」と聞いて勘違いする人も中にはいるかもしれませんが、経営者自身が「共育」=「共に育つ」考えを持って社員に接し、社内文化として広める事が大事だと思います。父母は子とともに生まれるという言葉がありますが、会社でいうと社員と共に経営者は生まれるのだと思います。共に育つとはそういう考え方です。

 

また、教育を英語でいうと「education」です。「education」とは引き出すという意味があります。人は能力を持っています。いかにして潜在している能力を引き出すのかを考えることが必要だと考えています。それが私の考える社員教育です。

 

生きることは生かすことであると思っています。人は生きていて、そして生かされているのだと思っています。この考えが元々私の中にあったので同友会が「人を生かす経営」と言っているのを聞いて興味を持ったために入会したという部分もあります。「人を生かす経営」という言葉だけでなく、実践が伴っていることが同友会の良さだと思います。これからも同友会運動を進め、発信していって欲しいと思います。

 

経営者も育たないといけません。色んな所に顔を出して聞いて行動して、どうやって会社に活かしていくかを考えていくことが必要だと思います。学び続けることが良い会社になる近道ではないでしょうか。

 

また、社員に経営者の姿を見せていくことも重要なことだと思います。経営者が何をしているのか、社員に見せていくことがお互いの理解にも繋がるのではないでしょうか。そしてまずは経営指針をつくること。そして経営者の考えや思いを発信することから始まるとも思っています。

インタビュアー・文責:伊井 達哉(愛媛同友会 事務局員)

ページの先頭へ戻る