全社員反対の移転から理想の経営実践へ

内田 敏之氏

<内田 敏之・プロフィール>
1955年生まれ。有限会社内田パン 代表取締役。愛媛県中小企業家同友会 松山支部第1地区会会員。
1987年に入会。同友会で経営指針を確立。

 

「【1】お客様にパンとの感動ある出会いを送りつづけ、お客様の食生活に貢献します。【2】私たちは全社一丸となり、働きがいのある、夢のある会社を作ります。【3】私たちはパンを愛し、妥協する事なく、パンを作り続けていきます」の経営理念実践のために直向に経営を続ける姿はご存知のとおりです。

―入会のきっかけ

商和会という会に入っていて、そこでの知り合いの方に紹介されて入会しました。当時は後継者で、勉強しなければという気持ちがあり、業種業界様々な経営者がいて、グループ討論をしていることが珍しく、多くの人に出会うことで自分も勉強できると思ったので入会しました。

 

商和会ではメンバーの多くが大学の先生でしたので実際に活躍されている経営者の話を聞けるということが大きかったと思います。

―同友会での学び、経営に生きていること

入会してすぐに北海道であった全国大会に参加したことを覚えています。そこで同友会で学び実践されている素晴らしい経営者を目の当たりにし、そんな人たちと話すことで自らも学ぼうと思いました。

 

経営をより良くするためにはどうしたら良いのか、社員との関わり方はどうしたら良いのか等、多くのことを考えさせられました。

 

同友会で多くの様々な経営者と話をし、学び合う中で私が「宝物」だと思うものは「人脈」です。多くの人と出会い、つながっていく中で色んなことを学んできました。松山支部にグループ会があった頃にグループ長をしていましたが、そういった経験も今の自分のためになっていると感じています。

―会社経営での失敗や成功

同友会で学んでも実際に持って帰って落とし込むことがなかなかできていませんでした。しかし、5年前に店舗移転したことがきっかけでガラッと変わっていきました。

 

移転には社員みんなが反対しましたが、より多くの人に食べてもらいたい、「パン屋のディズニーランド」を作りたいという思いから移転を決意しました。移転前は求人もなかなかできずにいましたが、今では採用も行えています。求人・採用を行うことでより社員教育にも力をいれました。

 

内田パンに努めている人は優秀だと、例え内田パンが潰れたとしてもどこでも働ける、どこでも生きてける社員を育てたいと思っています。店が小さくてできなかったことも今ではできるようになり、地域の小学校や子供たちとつながってイベント等も開催しています。周囲からの反対はありましたが、60年間やってきた場所からの移転に踏み切ったことはまだ5年しか経っていませんが成功と言えるのではと思っています。

―愛媛同友会への期待

以前松山支部にはグループ会というのがあり、20人ほどのグループで連絡を取り合い、会員同士の結びつきがありました。しかし今は会員同士のつながりが少し薄くなってしまっているように感じることがあります。グループ会でなくても良いと思いますが、会員同士のつながりをつくることができれば良いと思います。

 

また、経営者は社員一人ひとりが育つように外に出て勉強する必要があると思います。社員にも同じで勉強する場所に置くことが必要だと思っています。経営者はもちろんのこと、社員も成長するような受け皿であってほしいと思います。新しい刺激をもらえる場所だと思っています。私自身、例会にも社員を連れて行けたらと思います。

インタビュアー・文責:伊井 達哉(愛媛同友会 事務局員)

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