「経営者は黒子で社員が主役」

金子 司郎氏

<金子 司郎・プロフィール>
1952年生まれ。テクノロジープロダクツ ゼネラルマネージャー。愛媛県中小企業家同友会 松山支部第2地区会幹事。
1987年に入会。現在、同友会の企業連携委員として企業と企業を結びつける活動で活躍しています。
今と、これから未来へ繋げるためにも「一期一会」を大切にしていくことと、「堅忍不抜」の志をもって企業経営と同友会運動を実践している経営者です。

―入会のきっかけ

当時はバブルの始まりの時期で、労働環境も厳しく、社員に長時間労働をさせてしまっていました。このままじゃいけないと思い、なんとかしたいと考えていた時期でした。そんなときに同友会という勉強できる会があるというのを聞いて、会社とはどのようなことをしたらいいのか、How to(手法)本は出ていても実際はどのようになっているのかを学びたいと思っていたので入会しました。

 

当時は今よりも経営者と社員との関係が使う側と使われる側という考え方が多く、強かったように思います。そんな時代でも「労使見解」が同友会にはあり、経営者と社員との関係をどのようにして埋めていくのかということに関しては特に意識を持っていたように思います。

―同友会で学んだこと、経営に生きていること

同友会で学んだことは社員が主役だということです。「経営者は黒子で社員が主役」。社員がのびのび働くことができることで社員の力が最も発揮できると思っています。そういった場を提供することが経営者の仕事だと思っています。

 

同友会では、経営者としてすべきことを学ぶことができていると思います。毎月、毎回でなくても、スポットでもいいから自分の意識を変えていく機会をつくること、学びの場に自分を置くことが必要だと思います。外部から刺激を受け、自社に持って帰ることが大切だと学びました。

 

また、経営者が現場に出ることも必要ですが、社員に任せること、権限を持たせることは重要なことだと思います。経営者の想いを社員に伝えること、社員を「人材」でなく「人財」として考えること、社員を「ひとりぼっちにしない」ことが大切だということを学んだことは特に経営に生きています。

―会社経営での失敗や成功

社員が能力や人間性も含め成長したと感じると経営者として少しは成功したと見ることができるように思います。大きい会社でも去っていく人はいるけれども、その会社に相応しい人財が残り、集まることが成功だと思います。

 

ある時、優秀な社員が入り機械の組立を任せておりました。職場ではムードメーカーとして活躍してくれていたのですが、もっと経験の幅を持たせようと、別の現場に異動したところその社員が鬱(うつ)になってしまったことがあります。結婚直後であったこと等、様々な要因が重なってしまったようですが、その社員はその製造の現場だから優秀で活躍できていたわけで、社員の資質を見抜けずにいたことは私の失敗の一つだと思います。半年後、その社員は他の社員との援け合いによって元の製造の現場に戻って活躍してくれましたのでそこは逆に成功とも言えるかもしれません。

―同友会への期待

“激動の時代”といいますが、そんな時代にも対応できる、政策や大企業に振り回されない企業づくりをしていくことです。中小企業振興基本条例や企業連携等を通して、いきいきとした持続可能性のある会社づくり、地域づくり、核心的なサービスやものづくりを提供できる会社が増えていくようになればと思っています。会員のみなさんも、会員である以上はスポットでもいいですから例会に足を運んで、生の報告を聞いて考える時間を持っていただき、明日への学びとしてほしいと思います。

 

キャリア教育の一環として中学生の受け入れの経験が2回ありますが、社員教育としてもかなり効果があったと思います。「キャリア教育の手引書」ができて武田正晴さんも話されていましたが、地域とつながること、キャリア教育で子どもたちとつながることは企業の未来に様々な良い環境づくりと成果を残すと思いますので続けていってほしいと思います。

インタビュアー・文責:伊井 達哉(愛媛同友会 事務局員)

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