私の学びの原点は『労使見解』です。

武田 正晴氏

<武田 正晴・プロフィール>
1948年生まれ。恭栄自動車株式会社 代表取締役。愛媛県中小企業家同友会 キャリア教育担当理事。
1987年2月に入会。企画委員会、組織委員会、社員教育委員会、経営労働委員会の委員長並びに三代目松山支部長を歴任。
1994年に全国の中小企業団体で初めて実施した中学校の『職場体験学習』の中心的役割を担い、その後20年間にわたるキャリア教育を『人が生きる力を育む教育』として定義づける等、キャリア教育はじめとした同友会運動を会内外に広げているリーダーとして活躍しています。

―入会のきっかけ

今でも覚えていますが、私が入会したのは1987年2月28日です。

 

私は同友会入会前まで別の会に入会し、別の運動をしていましたが、方向性の違いを感じて退会して、何か自分が関われる所はないか探していた時に同友会と出会いました。わが社でお世話になっている日本交通社に当時浜野さんという会員さんがいらして、紹介を受けたことがきっかけです。私自身行き場を探していたこともあり2つ返事で入会したことを覚えています。一つのご縁、つながりの中で幸運にも同友会に出逢えたと思っています。

―経営での失敗と同友会での学び

同友会の中で私自身や仕事に対して最も影響を与えたのは『労使見解(中小企業における労使関係の見解)』です。『労使見解』と出会うまでは経営者はお金を出す人で、社員はお金をもらう人と完全に別物として対立関係にあるものとして捉えていました。そんな考えをしていましたから社内も険悪な良くない雰囲気でした。一番ショックを受けたのは、ある日の朝礼での工場長の一言です。「ここは奴隷工場や!」という発言でした。当時は車のリースの受注も増え残業ばかりしていたこともあり、不満が爆発したようです。

 

そんな中で経営指針成文化セミナーにも参加して、そこで労使見解に出会い、経営者の責任は何なのか、社員さんはパートナーであることを学びました。そして労使見解の精神を会社に活かすように心掛けました。いろんな労働環境、作業環境や様々な設備も整えました。一途に社員さんのためとしてです。しかし、これも一方的な思いから行ったことでした。

 

具体的には裏の工場にシャワールームを併設しました。昨年取り壊しましたがそれまで利用した社員さんはたったの1名でした。経営者の思いだけで作り、社員のニーズにはマッチしていませんでした。

 

そんなこともあり、私の学びの原点は『労使見解』です。とても大切な考え方だと思います。工場長からの声を聞いたり、ミスマッチを起こしたりしながら、学んだことはみんなの意見をまず聞くこと。集約することです。社員さんの声に答えることが必要なことだと思います。

 

社員さんからは、「現場は任してください。社長はお金だけ心配してください」という声をもらったことがあります。先代の時から赤字であろうが社員に賞与は必ず出してきました。鎌田哲雄専務理事(当時事務局長)にも「中小企業の賞与は生活給の一部です。決して儲かったから出すというようなものではありません」ということを言われたことがあります。そんなこともあり、今まで欠かさずに出来ています。経営者と社員の役割、ポジションの違いを明確にすることが会社にとって重要なことであると学びました。

―愛媛同友会への期待

私は同友会の運動を広げていくことで自社がスポットを浴びる、そういったことを今、同友会では行っていると思っています。だからこそ何かしら見える形での成果を上げたいと思っています。

 

私は、これからの愛媛同友会が歩んでいこうとしている道、行っている運動の行き着く先は中小企業振興基本条例だと思っています。あの中で私たちが愛媛同友会としてどういうふうに、どんな立ち位置なのかを明確にして活動・運動していくことが大切だと思っています。

 

円卓会議なんかでも人材育成というテーマをいただいて『愛媛同友会のキャリア教育の手引書(生きる力を育む教育)』なんかでも後押ししながら同友会のファンづくりをしていくことなど、「やっぱり同友会に入っておかなあかんな」という風に今道筋ができていると思っています。こういうことを丁寧にきちんと会員さんに伝えていけたら良いと思っています。様々な委員会で活躍している人々にキャリア教育の手引書は活用してほしいし、各支部の活動でもこれを活かした活動をして欲しいと思っています。形として手引書ができたこと、今後活用していくために私なりにできることはサポートしていきたいと思っています。

インタビュアー・文責:伊井 達哉(愛媛同友会 事務局員)

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